ミソラ:「引き止めちゃって、ゴメンね」
スバル:「う、ううん…」
ミソラ:「綺麗な 空ね…」
スバル:「…うん」
ミソラ:「この空の 向こうに 天国が あるのかな…」
スバル:「……」
ミソラ:「空を 見上げてるとね、ママの 声が聞こえてくる 気がするんだ…」
スバル:「………」
ミソラ:「わたし、ママとずっと 2人暮らしだったんだ…
…ママはね、もともと 病弱で 寝込みがちだった…
1年中 何も変わらない 部屋の中で過ごす 生活…
…わたし、ママを 楽しませてあげようって いろいろ 考えたの
それで 思いついたのが 歌を 歌うことだったの
春に咲く 桜の花や 夏の海、秋の紅葉、冬に降る雪…
わたしが 外で見てきた 綺麗なもの、楽しいこと、
全部 歌にして ママに聞かせてあげたの
ママ、ホントに喜んでくれて
それから、一緒に 歌を 作って 歌ったり…
歌はね、ママとわたしを 繋ぐ 絆なの…」
スバル:「………」
ミソラ:「そんな ある日、あるテレビで 歌手の オーディションを してたんだ…
ママが わたしには音楽の 才能があるから、
チャレンジして見たらどうかって 言ってくれたの
わたしが 本物の 歌手になれば、
ママ、きっと 喜んで くれるだろうって、オーディションを受けたの
このギターは その時に ママが かってくれたの…
必死で 練習して オーディションを受けて…
練習の かいあって、オーディションに合格して デビューすることができたわ
ママも ハナが 高いって 喜んでくれた
わたし、もともっと ママに喜んで欲しくて、必死に 歌ってきたわ
…だけど、もう ママに 歌を 聞かせてあげられなく なっちゃった…」
スバル:「…じゃあ……キミの お母さんは…」
ミソラ:「3ヶ月にね、あの空の 向こうに 行っちゃった…
わたし、ずっと ママのために 歌い続けて来たわ
ママを 喜ばせたいから
…だけど、ママはもう…
マネージャーは ファンのために 歌えって言うけど、
結局は お金儲けの ためなのよ…
…わたし、もう 歌いたくない…」
スバル:「…あ、あの…な、なんて 言ったらいいか 分かんないけど、
キミが 歌いたくない なんて 言ってたら、
天国の お母さんが 悲し…いや、なんでもないよ」
天地:「ちょっと 待ってください、困りますよ!
ね、ちょっと 待って!」
マネージャー:「ミソラ!!
大変なことを してくれたな!!
お前が 逃げ出したお陰で ライブは 中止だ!
一体 どれだけの 損害が 出たと思うんだ!
さぁ、帰るぞ!!」
ミソラ:「いやっ!
これ以上 わたしと ママの歌を 汚したくないの!」
スバル:「………」
マネージャー:「お前が ミソラを 隠していたのか!
そこを どけ!!」
スバル:「い、いやだ!!」
ミソラ:「スバルくん…」
マネージャー:「どけと 言ってるだろうが!」
天地:「大丈夫かい、スバルくん?」
天地:「あんた、子供に何をするんだ!
それに、その子もいやがって いるじゃないか!」
マネージャー:「うるさい!
その坊主が ミソラを 匿った赤毛で、こっちは 大損したんだ!
今回でた 数千万ゼニー、あんたが 肩代わり してくれるのか?
それに オレはこの子の 保護者だ!
他人は 口出ししないでくれ!
ミソラ、行くぞ!」
ミソラ:「………」
ミソラ:「…スバルくん、ゴメンね… それと…ありがとう」
天地:「スバルくん、力になれなくて すまなかったね…」
スバル:「ううん… こっちこそ…
…それじゃあ」
(ボクは 彼女に 何も 声を掛けることが できなかった…
もし、ブラザーに なることができたら…
彼女を 守ることが できたんだろうか…
…無理だ
ボクに 人を力付ける ことなんてできない…
最初 彼女が お母さんの 話をした時、ボクが 言葉を飲み込んだのは
彼女に 掛けてみる言葉は すべてボクにも 言えることだって 分かったから…
自分に できないことを 他人に やれなんて ボクにはいえない…
ボクは…無力だ…)