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第18話「大地の果て」(原作台詞版)(上)

樓主 Amory amory626
[b]第18話「大地の果て」(原作台詞版)[/b]

以下翻譯源自「光坂高校中文部漢化組」,部分語句我有再做修正。
深藍色的部分是朋也的台詞,深紅色的部分是史乃、渚和汐的台詞,黑色則是內心獨白。





  潮の匂いを辿って、斜面を登っていく。
  追著潮汐的味道,我登上了斜坡。

  (ゴールって、一体何があるんだろう…)
  (在終點,到底會有什麼…)
  (記念スタンプとかかな…)
  (難道會有紀念圖章之類的東西嗎…)


  視界が開けた。
  視野開闊了起來。
  真っ直ぐ先には、海が見えた。
  從正前方可以清楚看見大海。
  そして、その海を背に、ひとりの女性が立っていた。
  一位女性背對著大海,站立在不遠處。


  「お待ちしてましたよ」
  「我等你很久了」
  「岡崎朋也さん、ですね」
  「你是岡崎朋也吧」

  「はぁ、そうですが…」
  「啊,是這樣沒錯…」

  「古河さんという女性の方から、連絡をいただきまして」
  「我是受一位姓古河的女性委託,來到這裡等你的」

  「早苗さん、ですか?」
  「早苗阿姨嗎?」

  「そうです」
  「是的」

  「でも、その…」
  「但是,那個…」
  「俺は、早苗さんにここまで来るように指示されただけで…」
  「我也是在早苗阿姨的安排下才來到這裡…」
  「失礼ですが、あなたが誰なのかも知らないんです」
  「雖然有點失禮,但我還不知道您是誰」

  「わたしですか」
  「我嗎?」

  「ええ…」
  「嗯…」

  「わたしは、岡崎史乃といいます」
  「我叫岡崎史乃」

  「…え?」
  「…咦?」

  「あなたの父親の母です」
  「是你父親的母親」

  風が吹いて、額に張りついた髪をなびかせた。
  額前的瀏海在海風的吹拂下輕輕飄動。
  早苗さん。
  早苗阿姨。
  一体あなたは、どんな経験を俺にさせたいんですか。
  你到底想讓我來感受什麼呀。


  「大きくなりましたね」
  「你已經長了這麼大了呀」

  「会ったこと…あったんですか」
  「我和您…以前見過面嗎?」

  「ええ。でも、あなたが覚えてないのは無理もないですよ」
  「嗯。但是你不記得也是沒有辦法的事情」
  「まだまだ小さかったですから」
  「那個時候你還很小」

  「そうですか…」
  「是這樣嗎…」

  「あの馬鹿は、まだ罪滅ぼしの途中ですか」
  「那個笨蛋,還在繼續贖罪嗎?」

  「いや…たぶん、もう実家に戻ってると思います…」
  「不…我想大概已經回老家去了…」

  「大変な思いをしたでしょう」
  「他帶給你不少痛苦的回憶吧」

  「いえ…お互い、距離を置いてましたから…」
  「不…因為我們互相保持著距離的關係…」

  「わかりますよ。直幸のことですから」
  「我能了解,因為他是直幸嘛」

  直幸…父の名だった。
  直幸…這是父親的名字。
  俺は海に目を向けた。
  我將目光移向了海面。

  「昔はあんな馬鹿な子ではなかったんですよ」
  「以前的他並不是這麼不中用的人」

  祖母は話を続けた。
  祖母繼續說了下去。

  「若い結婚でした。ふたりとも学生だったから、誰もが反対しましたよ…」
  「年紀輕輕就結婚了。兩人都還是學生,因此任誰都反對…」
  「でも、直幸は高校を中退してまで、働いて…敦子さんのために頑張った」
  「但是,還在讀高中的直幸卻毅然決然退學開始工作…為了敦子而努力著」
  「小さなアパートで、二人暮らしを始めて…」
  「在一座小公寓裡,兩人開始了新的生活…」
  「収入も少ない中、やりくりして…」
  「收入微薄,靠著精打細算來彌補…」
  「何を好んで、苦労してるのだろうってね…」
  「任勞任怨,從來就不怕吃苦…」
  「周りは不思議そうに見てましたよ」
  「周圍的人都覺得不可思議」
  「でもね、直幸はそれで幸せだったんでしょう」
  「但是,直幸卻覺得這樣的生活已經很幸福了」
  「ずっと一緒に暮らしてきたわたしなんかでも見たことのないような笑顔でいましたか」
  「他露出了就連和他住在一起的我也從未見過的笑容」
  「自分の力だけで、愛する人を守って、生きていく…」
  「靠自己的力量來保護所愛的人,一起生活下去…」
  「それだけであの子は幸せだったんですよ」
  「僅僅如此,那孩子就已經很幸福了」
  「やがて、敦子さんはお腹に直幸との子を宿しました」
  「不久,敦子的腹中懷了直幸的孩子」
  「ささやかな祝福の中で、朋也さん、あなたは生まれてきたんですよ」
  「在小小的祝福中,朋也,你出生了」
  「ふたりきりだった生活は、家族の生活になりました」
  「從此兩人的生活開始有了家庭的氣息」
  「直幸は今まで以上に頑張って、働きました」
  「直幸比以前更加努力地工作著」
  「ずっと、笑いながら」
  「臉上一直帶著微笑」
  「でも…」
  「但是…」
  「その幸せは長く続きませんでした」
  「這樣的幸福卻沒有持續多久」
  「敦子さんが事故に遭って…」
  「敦子遭遇了事故…」
  「…そのまま他界してしまいました」
  「…就這樣子離開了人世」
  「直幸にとって、それは…立ち直れないほど悲しい出来事でした」
  「對直幸來說,這是…讓他無法再振作起來的悲劇」
  「あの子は、家族の幸せを守って、生きてきたからです」
  「那孩子,是為了守護家庭的幸福而活下去的」
  「でも、まだ絶望するわけにはいかなかったのです」
  「但他也知道,不能就這樣絕望下去」
  「朋也さん」
  「朋也」
  「…まだ幼いあなたが残されていたからです」
  「…那是因為還有幼小的你在」

  (BGM:願いが叶う場所 II)

  「こいつだけは、自分の手で育て上げるから、と…」
  「他要用自己的雙手將你撫養長大…」
  「あなたは、その日、この場所から…直幸と手を繋いで、歩いていったのですよ」
  「那一天,你和直幸就是從這裡…手牽著手一起走了過去」
  「覚えていますか」
  「你還記得嗎?」

  「………」
  「………」

  「そこから始まった日々が…あの子の人生の中で、一番頑張った時間なのですよ」
  「從那天之後的日子…是那孩子一生中最努力的時光」

  「………」
  「………」

  「仕事と子育てを両立することは、難しかったんです」
  「同時兼顧工作與養育孩子相當困難」
  「何度も仕事をクビになって、転々として…」
  「他被開除了好幾次,被迫到處輾轉奔波…」
  「それでも、あなただけは手放さずにいました…」
  「即使如此,他也從來沒有鬆開過你的手…」
  「なけなしのお金で、おもちゃを買い与え、お菓子を食べさせて…」
  「用僅剩的錢買玩具給你玩、買點心給你吃…」
  「自分の運や、成功する機会…すべてを犠牲にして…」
  「將自己的機運、成功的機會…所有的一切全部犧牲掉了…」
  「あなたを育て上げたのですよ」
  「就這樣把你撫養長大」
  「時には厳しかったでしょう。時には、乱暴だったでしょう」
  「有時候很嚴厲,有時候很粗暴」
  「でも、すべては…あなたを無事に育て上げるためだったのですよ」
  「但是,那全都是…為了能讓你能健康地長大呀」
  「そして、あなたが手のかからない男の子として育ったとき…」
  「然後,為了能讓你成長為一個出色的男孩子…」
  「あの子は、すべてを失っていました」
  「那孩子失去了一切」
  「仕事も…」
  「工作…」
  「信頼も…」
  「信賴…」
  「運も…」
  「機運…」
  「友も…」
  「朋友…」
  「そこからはもう…」
  「在那之後…」
  「堕落していくしかなかったのです」
  「他便開始墮落了」
  「朋也さん」
  「朋也」
  「直幸は…駄目な父だったと思いますか」
  「你覺得…直幸是個失敗的父親嗎?」

  「………」
  「………」
  「…いえ…」
  「…不…」

  泣きそうだった。泣き出したかった。
  很想哭,但卻怎麼樣也哭不出來。

  「俺のほうが…」
  「我才是…」
  「俺のほうがよっぽど…駄目な人間です…」
  「我才是真正…差勁的人…」

  「………」
  「………」

  そんな思いであの人が俺を育ててきたなんて知らなかった。
  我從來都不知道,那個人竟然是這麼辛苦地將我撫養長大。
  そして…
  而且…

  「俺は…あの日の親父と…同じ場所に立ってるんです」
  「我和…當年的父親…就站在同樣的處境上」

  「………」
  「………」

  「まったく同じなんです…」
  「真得是一模一樣…」
  「なのに…今の俺は…弱くて、情けない人間です…」
  「但是…現在的我…卻是個軟弱又沒用的人…」

  「いえ…あの子も、弱くて、情けない人間でしたよ」
  「不…那孩子也是個軟弱又沒用的人啊」
  「我がままばかりで、乱暴で…」
  「既任性又粗暴…」
  「人間としては、駄目な人間です…」
  「以一個人的標準來看,他是個差勁的人…」
  「でも…」
  「但是…」
  「ただ、ひとつだけ…わたしは今も誇りに思いたいのです」
  「只有一件事…是我一直感到驕傲的地方」
  「人間としては、駄目だったけど…」
  「雖然作為一個人來說,他很差勁…」
  「父親としては、立派だったと」
  「但作為一位父親來說,他卻十分了不起」

  「………」
  「………」

  「朋也さんも…そう思ってくれますか」
  「朋也…你也這麼想吧」

  「………」
  「………」
  「…はい」
  「…是的」

  「ありがとうございます」
  「謝謝你」

  「いえ…そんな…」
  「不…別這麼說…」


  「朋也さん」
  「朋也」

  祖母が真っ直ぐに俺を見た。
  祖母直視著我。

  「あの子は、頑張りすぎました」
  「那孩子已經努力過頭了」
  「そろそろ休んでも、いい頃でしょう…」
  「差不多是該讓他休息的時候了…」
  「どうか、伝えてください」
  「請傳達給他」
  「もう帰ってこい、と…」
  「告訴他已經可以回來了…」
  「わたしはこの場所で、あの子を待ち続けます」
  「我會一直在這個地方等待著那個孩子」
  「あの子と、ここで暮らせることを願って」
  「我希望能和那孩子一起在這裡生活」

  優しい目だった。
  溫柔的眼神。
  母の目だった。
  那是一位母親的眼神。
  ずっと、子を見守ってきた人の。
  一直守護著孩子的母親的眼神。

  「………」
  「………」
  「…わかりました」
  「…我明白了」
  「伝えます」
  「我一定會傳達給他」











  「汐ーっ」
  「汐──」

  呼ぶと、すぐ正面で汐が顔をあげた。
  聽到了聲音,汐從對面抬起了頭來。

  「見つかったか」
  「找到了嗎?」


  「…ううん」
  「…還沒有」

  立ち上がって、うなだれる。
  她站起身來,卻又把頭垂了下去。

  「…みつからなかった…」
  「…還沒有找到…」

  「そっか…仕方ないな」
  「這樣呀…那就沒辦法了」
  「また、新しいの買ってやるからさ…」
  「以後再買新的給你吧…」

  「………」
  「………」

  そう言っても、汐は顔を伏せたままでいた。
  就算這麼說,汐還是低垂著頭。

  「…あれはひとつだけだから」
  「…那是獨一無二的」

  「ん? ひとつだけって、何がだよ。たくさん、売ってただろ?」
  「嗯?怎麼會獨一無二。不是還有很多同樣的在賣嗎?」

  「…えらんでくれて…かってくれたものだから」
  「…那是選來…買給我的」
  「…はじめてパパに」
  「…爸爸第一次買給我的」

  ………。
  ………。
  俺は早苗さんの言葉を思い出していた。
  我想起了早苗阿姨曾說過的話。

  ──汐は、ずっと寂しがっているんですよ。
  ──汐一直都很寂寞。
  ──ずっと、お父さんがそばにいなくて。
  ──因為父親一直不在她身旁。

  「…汐」
  「…汐」
  「じゃ、おまえには…大切なものだったんだな…」
  「那個玩具…對你來說是很重要的東西嗎…」

  「………」
  「………」
  「…うん」
  「…嗯」

  ああ…取り戻せるんだ。
  啊啊…還能挽回啊。
  そう思った。
  我這麼想著。

  「汐…」
  「汐…」
  「寂しかったか」
  「覺得寂寞嗎?」

  「…うん」
  「…嗯」

  「俺なんかと旅行できて…楽しかったか」
  「就算是和我一起出來旅行…也會開心嗎?」

  「…うん」
  「…嗯」

  「ずっと…ごめんな」
  「一直以來…抱歉了」
  「長い間…ひとりにして…」
  「那麼長的時間…都讓你一個人度過…」
  「な、汐」
  「吶,汐」
  「これからは、ずっとそばに居ていいかな…」
  「從今以後,你能留在我身邊嗎…」

  「………」
  「………」

  「…ずっとさ…駄目な父親だったけどさ…」
  「…雖然…我一直都是個很差勁的父親…」
  「これからは、汐のために頑張るから…」
  「但是從今以後,我一定會為了汐而努力…」
  「だから、そばに居ていいかな…」
  「所以,能留在我身邊嗎…」

  「…うん」
  「…嗯」

  「本当か?」
  「真的嗎?」

  「…うん。いてほしい」
  「…嗯,想和爸爸在一起」

  「そうか…」
  「這樣呀…」

  「…でも、きょうは…」
  「…但是,今天…」
  「…たいせつなものなくしたから…」
  「…把重要的東西弄丟了…」
  「…かなしい」
  「…好難過」
  「…パパ」
  「…爸爸」

  「うん?」
  「嗯?」


  「…もう、がまんしなくていい?」
  「…可以不用再忍耐了嗎?」

  「何を…?」
  「忍耐什麼…?」

  「…なくの」
  「…哭」

  「泣くこと?」
  「想哭嗎?」

  「…うん」
  「…嗯」
  「…さなえさんが、ないていいのは…」
  「…早苗阿姨說過,可以哭的地方…」
  「…おトイレか…パパのむねだって…」
  「…只有廁所…還有爸爸的懷裡…」

  「………」
  「………」

  五年間…
  五年間…
  ずっと、こいつはトイレの中で、ひとり泣いてきたのだ。
  這孩子都只能自己一個人在廁所裡哭泣。
  早苗さんは、決して、自分の胸で泣かせたりしなかったのだ。
  早苗阿姨是絕對不會讓她在自己的懷裡哭泣的。
  なんて…
  我是多麼…
  なんて…ひどい父親だったのだろう、俺は…。
  我是多麼…過分的父親呀…。

  「ああ…もういい…」
  「啊啊…已經可以了…」
  「もういいんだよ、汐…」
  「已經可以了喔,汐…」
  「もう、我慢なんかしなくていい」
  「已經不用再忍耐了」
  「泣きたかったら、パパの胸で泣けばいい」
  「想哭的話,就到爸爸的懷裡哭沒關係」
  「ほら」
  「來」

  俺はしゃがみ込んで、腕を開いた。
  我張開了雙臂。

  「………」
  「………」

  汐は少し、迷った後…
  汐稍稍遲疑了一會後


  ぱたぱたと走ってきて、俺の胸に飛び込んだ。
  啪搭啪搭地跑了過來,衝進了我的懷裡。
  そして、泣いた。
  然後哭了出來。
  わんわん、と。
  哇哇地大哭。
  大きな声で。
  哭得好大聲。

  「汐…」
  「汐…」

  その頭を撫でて、そっと抱きしめた。
  我撫摸著她的頭,緊緊抱住她。
  俺にしか守れないものが、ここにあった。
  我必須要守護的人,就在這裡。






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